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序章/3
「……気味が悪いな」
言って、少年は再び、歩みを進めた。乾いたあぜ道に、カラカラ、という無機質な回転音がこだまする。
──と。
数歩進んだところで、彼は、その場に立ち止まった。というのも、──真上から、雪がひとひら降ってきたからである。
「嘘だろ……? まだ、秋、終わっていないのにさ」
道端に自転車を止め、てのひらを上に向ける。すると、冷えた感触が手に乗った。
手指の上で溶ける物体を、まじまじと見やる。
まさしく、一片の雪だった。けれど、ふだん見慣れた白い雪ではなく、こがね色に光る奇妙な雪である。
「……はあ?」
少年は目を丸くして、手に付着するものを見つめた。
雪である。ただし、前述のとおり、その色は金だ。
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