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第一章/30
窓外から射す淡い日射しが、床に、いくつもの長い影を作る。
運動部部員が発するかけ声を遠くに聞きながら、真昼は口を開いた。
「兄貴は俺と違って、女の子に結構もてるじゃねえか。なんでか知らねえけど、よく、『かわいい』って評価されるし。予言っていう、貴重なスキルも持ってるしさ。羨ましいよ、ほんと」
すると、真朝が「そうかな?」と首をかしげた。
「そう言う真昼だって、運動神経はかなりいいじゃない? 僕は、そっちのほうが羨ましいけどな」
「どうだか」真昼は微苦笑する。「一日でいいから、兄貴と体を交換してみたいよ」
と、
「ええっ、そんなの嫌だよ!」
という、切羽詰まった声が耳に飛び入ってきた。
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