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骨壷の包みを手に取るが、手を滑らせ落としてしまいしゃがみこむ。そのまま肩を震わせ、その場から動かなくなってしまった。
果穂はふにゃふにゃと言い始め、やがて泣き出す。
「うるせえな、なんとかしろよ」
優二は動かず、肇は苛ついた。
「なんとかしろよ、父親だろうが」
優二は充血した目で肇を睨む。
しかし果穂を揺すったり背中をさすったりしてあやし始める。それでも果穂は泣き止まない。
「帰れって言われてんだけど・・・」
肇から溜息が出た。らちが開かないと判断し、骨壷と遺影を紙袋の中に突っ込み優二に突き出す。
と、果穂が肇に手を伸ばした。
「なんだよ、寄るんじゃねえよ」
手を払うが、しつこく両手を伸ばしてくる。
最初は優二も何故果穂が肇のところに行きたがるのか分からず戸惑っていたが、泣き止まない果穂に困り果てて遂に肇に受け渡す。
肇が仕方なく抱えてやると、ぴたりと泣き止んだ。優二も肇も目を丸くする。
そこからなし崩し的に、肇が果穂の面倒を看るようになっていった。
元バンドマンでサラリーマンのユウジと、4歳になったカホと、節操なしのゲイを自称する肇との奇妙な同居生活は未だに続いている。
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