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その日の夜の9時。
マンションの3階にある家に帰り、カホを寝かしつけた後のことだ。肇はピアノで指を遊ばせ、ユウジがスマートフォンを触ってる時だった。
ユウジがおもむろに
「カホに母親って必要だと思うか?」
とのたまった。
肇は動揺するが、すかさずポーカーフェイスを貼り付ける。
ーーーいや、知らねえよ。そんなんカホに聞いてみるのが一番手っ取り早いじゃねえか。俺に聞いてどうすんだよ。
という言葉が浮かんでも、
「さあな」
としか答えられなかった。
「織田先輩がいい娘紹介してくれるって言ってんだけどさ」
肇の雇主である織田店長は、スキンヘッドにサングラス姿の偉丈夫だ。某漫画に出てくる、元スナイパーの喫茶店のマスターに似ているとよく評されている。
そんな店長に紹介できるような女がいたのか、と肇は驚き半分、感心半分でユウジの話を聞く。
ユウジは煮え切らない態度で
「まだそんな気になれないっていうか・・・」
と首を捻っており、肇は「そうだな」と返しつつ少しほっとする。
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