18人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「カホもいるしさ、でも、お前のことも気になってさ」
「は?」
唐突に自分のことに話が切り替わり、肇は付いていけない。ただ次の言葉を待つ。
「カホの事任せっきりでさ、まともにバイト行けてない時もあっただろ?
そろそろ、お前も自分の将来の事考えて動かないといけないんじゃないのか?」
「なんだよ、急に」
そんなことは、今まで触れられたことが無かった。むしろユウジは、自分が収入と家事の大半を担っているのだから、肇がカホの世話をすることは当たり前という節もあった。
「いや、俺自分が恥ずかしくなっちゃってさ。そんな事、年下の女の子に指摘されるまで気にもとめてなかった」
ーーーちょっと待て。それもしかして
「アリサちゃんって、イイコだよな」
照れ臭そうに笑うユウジに、肇は苛ついた。
女性に対してこれほど怒りを抱いたのは初めてであった。
側から見れば嫉妬であることは明白だ。しかし、セックスの経験は豊富でも、恋愛や交際をした事のない肇はそれを自覚できず、ただやり場のない思いをアリサにぶつけることとなる。
最初のコメントを投稿しよう!