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楽器店のロッカールームにアリサがやって来るや否や
「お前何余計なこと言ってんだ」
と自分でも驚くほど低い声が出た。少なくとも、アリサが怯えて少し後ずさるほどには。
「人ん家の事にクビ突っ込んでんじゃねえよ」
アリサは睨みを効かせる肇に負けじと睨み返す。
「人ん家の事じゃないわよ、アンタの事よ。
それに、いつまでもフリーターやってる訳にいかないのもホントの事でしょ」
「だから余計なお世話だって言ってんだよ!」
肇はロッカーの扉に拳を叩きつける。
金属製の扉は鈍い音を室内に反響させ、肇の怒声がそれに重なる。
「それにユウジはーーーー」
「何やってんだ!どうした?!」
店長が部屋に飛び込んで来たことで、肇は我に返った。
「・・・すみません」
素直に謝罪の言葉が出てきた。さすがにやりすぎたと反省する。
また、ユウジは自分のものだと、無意味で虚しい主張をしまうところだったと肝を冷やした。
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