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「ここのケーキ屋さん結構有名なんですけど、ちょうどプリンがふたつあったんで買ってきました」
「……」
「なんだか先輩、元気がなさそうに見えたんで…そういう時には甘い物がいいかなと思って」
なんで、この子はこんなにも真っ直ぐなんだろう。
そうやって当たり前のように自分より俺の事を考えてくれるから、俺はどんどん自分が居た堪れなくなる。
居た堪れなくなって、それで…
「一緒に食べませんか?」
どうしようもないほど、愛おしいと、思ってしまう。
鼻を赤く染めながら少しはにかむ紬ちゃんの腕を引っ張り、自身の胸に引き寄せた。
俺の腕の中にすっぽりと収まるその身体は頼りないくらいに小さいくせに、驚くほどに温かくて、目頭がじわっと熱くなる。
思わず「泣きそう」と呟いた自分の声が情けなさすぎて、余計に泣きそうになった。
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