615人が本棚に入れています
本棚に追加
この子の真っ直ぐで直向きな想いが、俺はいつも怖かった。
俺はこんな風に想われるような人間じゃないのにと、少し卑屈にもなった。
もっともっとこの子に釣り合う男がいるんじゃないかと、不安が付き纏った。
そんな俺の憂いを全て吹き飛ばしてしまう紬ちゃんの笑顔に、嫌でも気づかされてしまう。
こんなにも、自分が彼女に惹かれていることを。
「…好きだよ」
こんな言葉を口にする事なんて、もう二度とないと本気で思っていた。
泣きじゃくりながら俺と同じ言葉を吐き出した彼女を部屋の中へと引きずり込むように招き入れた。
真っ暗な世界で、ガタリと音が立つ。
最初のコメントを投稿しよう!