第一章/痛みにしがみつく

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ぽつり、と。喧騒に掻き消されそうなほどに小さな声だったけれど莉奈の耳にはしっかりと届いたらしい。 「左?金のハイライト入れてる?」 「…うん」 「えっ!紬って真矢(まや)先輩推しなの!?まじか、まじか!」 「あの三人の中だったら、だよ?別に深い意味はなくて、」 「分かってるって!」 …本当に分かってるんだろうか。 莉奈のことだから周りに言いふらすとかはないにしても、うっかり言っちゃった…とか有り得そう。それで万が一、真矢先輩本人にその話しが行き渡ってしまったら…。 そんなの困る。ダメ。絶対ダメ。
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