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いつの間にか開いていた窓から吹き込んできた春風が、エリザの髪をなびかせた。手元の書類から目を離し、窓から街の風景を眺める。人々は活気付いており、皆明るい表情をしている。
エリザは校長である。それも王立魔術学園ルノワールという大陸中の才ある者が集まる、カルナリア王国にある一流の学園の校長である。
エリザはそんな学園の校長に28という若さで就き、超一流の魔術師に国王から渡されるラヴェリア章という名誉勲章を賜っていた。
春は希望に満ちた季節だ。
枯れて死んでしまった草木たちがまた息を吹き返し、小鳥たちはそれに喜び歌を歌い始める。小鳥たちの歌を聴き、眠りについていた動物たちも目を覚まし始める。
はあ、と思わず溜息をつく。
(まあそれも、私以外は、だな......)
先日から一向に書類の山が減っていない。
いや、寧ろ溜まっていっている気がする。
まあそれもこれも書類は毎日増える一方なのに、仕事をさぼる自分が悪いのだけれど。
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