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「はあ......続きをしないと......」
重い腕を動かして羽ペンを握り、書類に目を通す。
今度の課外実習の予算、有給休暇を取りたいという教師からの願書、この学園での方針の改善案、生徒会からの試験制度の見直しを要求する書類、よくよく見れば期日が間近なものもある。
気分転換にお茶を入れようかと席を立とうとすると、チリン、と控えめな鈴の音が部屋に響いた。この部屋に客が来たことを知らせるための鈴だ。
客か、それとも何かを知らせに来た教師か。
若干けだるさを感じながらもロックを解除し扉を開けると、そこには息を呑むほど美しい少年がいた。
少年、のはずなのだが、彼のことを知っていてもどうしてもその性別を疑ってしまう。
透き通るような白磁の肌に、髪は夜空を映しこんだかのような美しい藍色。長い睫毛に縁どられた大きなサファイアのような瞳を細めて柔和な笑みを浮かべている。顔立ちは中性的で、それがより一層彼の神秘的なまでの美しさを際立てている。
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