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エリザの言葉に一瞬、本当に一瞬だけ、少年の顔が僅かに泣きそうな、何かを堪えるような表情になった。しかし、瞬きする間もなく表情は元に戻る。
その時エリザはちょうど窓の外から聴こえてくる鳥のさえずりに気を取られていたため、その些細な少年の変化には気づかなかった。
「ふふふ。冗談です。まあそのように怒らないでくださいよ。明日から立場が逆になるのは本当なのですよ?明日からはちゃんと一生徒として扱ってくださいね。」
しかし、と彼は目を細めながらエリザを見つめる。
「僕が来ることを知らないようでしたね?また仕事をサボっていたのですか?」
その言葉にエリザはぴしりと石のように固まり、言い返そうとするも言葉は出てこない。
「はあ......まったく......書類は早めに目を通しておきなさいとあれほど言っていたでしょう?この学園の校長たる貴女がそのような低落でどうするんですか、エリザ。」
エリザは苦笑いをしながら視界の端に映る書類を見やった。
机の上には大量の書類の山がある。これを確認し終えるのにどのくらいの時間がかかるのだろうか。
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