1章

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 エリザは心の中で自分を叱咤したが、あれは書類を確認してもそんなに変わらないんじゃないかと思い直した。どちらにせよ、心臓が飛び出そうなくらい驚くのだ。それが早いか遅いかの違いだろう。  そこまで思い、エリザは優しい笑みを浮かべて彼を見つめた。   これからの学園生活、どうか彼には楽しんでもらいたい。”普通”というものを知ってもらいたい。平和で優しい世界があるということを。 ——しかし、案外波乱が待っていそうだなあ  春風が温かく、優しく、見守るように吹いていた。  春はまだ、始まったばかりだ。
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