第一章・輪廻の種子、麗しの舞姫

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「お疲れ様~!!!」  舞台袖で小躍りする座長が踊り子を出迎える。  観客の大喝采に気を良くしたようだ。 「ハイ、みんなお駄賃だよ~!!ここは特上客ばっかだから明日も気張るんだよ~!!」  キャーと黄色い声が上がり、踊り子たちは次々にチップを受け取って行く。 「さぁ、アイーダも。今日も絶好調だったね~!!」  しかし、当の宵の翠玉・アイーダは舞台で掻いた大量の汗を木綿布で拭うと、舞台袖に用意していた自前の真っ黒なローブで身体を覆い隠しさっさと立ち去ってしまった。 「もう!アイーダったらそんな辛気臭い恰好、いい加減やめなさいよ!」 「そうよ、折角いいカラダしてんのに~!!」 「そんなだから未だに処女なのよッッ!!ほとんどの客がアンタに食いついているっていうのに!!!」  同僚たちの言葉を聞き流しながら、アイーダは王宮内の宿泊部屋まで急いだ。  壁に洋燈(ランプ)が燈された長い廊下をサンダル履きの脚でひた走る。 (早く部屋に戻らなきゃ)  焦る気持ちと一緒に舞台で浴びた不快な声が脳内を支配した。 『いや~、実に美しい!是非とも一夜』 『あの豊満な乳房にやさ腰!!おおよそ神が遣わした最も極上のものではないか!』 「・・・っ」  もう嫌というほど聞いてきた男たちの下心と本性。  どんなに舞台数を踏んでも寒気がする。 「アイーダ!!」  バッと飛び掛からん勢いで進行方向の角からジャービル王が飛び出して来た。
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