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中央に羽飾りを付けたターバンを頭に巻き、無数の黒子がある巨大な鼻。
皮膚は色黒く白髪交じりのもじゃもじゃとした口髭と顎髭を蓄えている。
胴衣の上からも分かる弛んだ矮躯。
太くて短い指全てに大きな宝石の指輪が嵌められ、顔と同じく深い皺が刻まれている。
孫娘ほど年の離れた踊り子に老いた小国の王は夢中になっていた。
「アイーダ、今日こそおまえの身体を味あわせておくれっ、一度だけでいいんじゃぁ!!」
手首を握り首を擡げ、見上げながら懇願してくるジャービル王。
相手が国賓なだけに邪慳にする事も出来ず、毎回丁重にお断りしてきた。
「良いだろアイーダ。今日ワシは国の金の大半を座長に渡したんだ!!この間は私の懐から全額出した!!それでも足りないと言うのかねっ!!?」
「無理ですっ、わたしはどなたとも関係を持つ気はありませんお離しくださいっ!!」
そんなの売春行為に他ならない。
「何がだ!何が不満なのだ!?妃になるのが望みなら今すぐにでも!!他の踊り子はみな喜んでワシの相手をしてくれたのじゃぞぉッ!!みな喜んでいた、
確かに若者より年を経たが、身体は劣らぬぞっ!!!」
目を血走らせ、国王は捲くし立てる。
(だからそういう問題じゃないのよっ!!!)
是が非でも自分と一夜明かさぬと気が済まないようだ。
だからと言って嘘でも首を縦に振ってしまったら本末転倒である。
「アイーダっ!さぁワシの部屋へ来るのじゃ!!おまえの泊まる部屋よりもずっと広く寝台も特大じゃぞっ!!どんなに激しく乱れても何ら支障はない寧ろワシの下で乱れ咲くおまえが楽しみじゃわい!!」
「ちょっ・・・!!」
上手い言い訳が思いつかず考えあぐねていると強引に腕を引っ張られた。
(やだっ―――!!)
「待てっ!」
聞き慣れた声が耳に飛び込む。
声の主はジャービル王の手をアイーダから引き離すと、彼女を自分の後ろに隠した。
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