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「アイーダ?顔色悪いわよ?毎晩シゴトばっかしてるからヨ!!少しはカラダを満たさなきゃァ~」
(本当になんでこんな世界にわたしはいるんだろう・・・)
折角静かな朝の空気で穏やかになってたのに、本当に頭が痛くなってきた。
「おおッ!!アイーダ!!昨夜ワシの誘いを断っておいて、あんな若輩貴族と情交するとは!なんたる侮辱じゃぁッ!!」
唾を盛大に飛ばしながらジャービル王が年に似合わない脚力で迫って来た。
今日はなんて最悪な日なのだろうか・・・。
この世界で「良い日」なんていうモノは存在していないが、今日は厄日にしか思えない。
「アイーダ!!おまえは、あんな小金持ちとは体を交える癖に国王であるワシとは体を交えないと言うのかッッ!!!」
怒りに我を見失っているジャービル王は激しく捲くし立てる。
どうやら先ほど来賓客室から出てきた所を見ていたらしく、勘違いしたようだ。
「ジャービル様、わたしはどなたとも関係を持つ気はございません。誤解にございます」
そう弁解してもジャービル王は全く聞く耳を持たない。
「そんな嘘で王を謀る気かッッ!!!踊り子風情がいい気になるなッッ!!!」
「アイーダはカービド様がどの程度かを見極める為に、昨晩のお誘いを断ったのですわ。それもジャービル様にお喜び頂く為に」
(ジャスミンッ!!)
なんて事を言うんだと恨めしい目で睨んでもジャスミンは素知らぬ顔をしている。
「おおッ!!まことか!!ならば下準備は出来ておろう、早速ワシの部屋で存分に啼かせてやるぞ」
ぐい、と皺の寄った太く短い指と手の平がアイーダの腕を掴む。
「ちがッ・・・!!はなしっ」
老齢とは思えぬ馬力で引き摺られる。
ジャスミンを振り向くと満面の笑みで手を振っている。
『さっさと処女卒業しなさ~い』
そんな声が聞こえてきそうな顔で。
(いくら自分がジャービル王と関係を持った事があるからって、わたしにまで押し付けないでよっ――!!)
絶対絶命。
そんな単語が脳内を圧迫した。
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