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「何してるんだ!!」
声がした瞬間に自分を挽く力が反転する。
「またおまえかぁっ!!いい加減ワシの邪魔をするな!!」
上機嫌だった王が再度激昂する。
「邪魔?彼女が嫌がってるのが分からないのかよ!耄碌爺!!」
昨晩の再現をしているかのように、ルトはアイーダを自分の背に隠し王と対峙した。
「小童の分際でどこまでこのワシを愚弄するかあッッ!!!」
そう叫び、怒りに我を失った王が佩刀を抜いた。
(嘘―――ッッ!!)
まさかの事態に背筋が凍り付く。
スローモーションのようにジャービル王がルトに斬りかかってくる―――!!
ルトの背後で恐ろしくなり思わず目を瞑る。
「うわーあああああああ!!」
頓狂な叫び声が耳に入る。
紛れもなくジャービル王のものだ。
恐る恐る目を開けた。
なんと天井を突き抜けんばかりの大きな魔神が、ジャービル王の襟首を指先で摘み、自分の顔辺りの高さまで持ち上げていたのだ。
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