59人が本棚に入れています
本棚に追加
「この王宮では兵の他に魔神が見回ってるらしいんだ。何でもヘサーム王の配下で本人には最も強い魔神が憑いているって噂なんだよ。前なんか横領した臣下のひとりが魔神に殺されたっていうしね、あんな怪物をどうやって手下にしてるんだか。怖くて誰も逆らえないんだよ」
小さい頃読んだアラビアン・ナイトの絵本。
そこに出てきたランプの魔神は愛嬌があって優しい印象だった。
今目の前に現れた魔神は子供の時の夢を壊してしまった真実の物語の彼らと同じく恐ろしかった。
(そんなものを操っているなんて、ヘサーム王はどれだけ恐ろしい人なんだろう)
「だから、あんな無茶を?」
「ん?ちょっと狙ってたけどね、騒げば魔神が出て来るかもって。あんな焼いた石炭になってるヤツには何言っても一緒じゃないか」
「それは・・・、そうだけど。もし魔神が現れなかったら、ルト」
「だいじょうぶだよ、ありがとう心配してくれて」
「ちょっとォ~、ふたりともワタシの事忘れてな~いィ?」
じとーっとした目でジャスミンが割って入る。
「そもそもジャスミンが余計な事言うからでしょうっ!?」
「アイーダが処女卒業するのに丁度イイかな~って思ったのよ!折角のチャンスだったのにィ~!!ジャービル王は結構イイのよッ!!」
そんな嬉しそうに言われても、自分から見て祖父くらいの年齢にあたるジャービル王だ。生理的にも受け付けられない・・・。
最初のコメントを投稿しよう!