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ルトに食堂まで付き添われ、ジャスミンと既に準備の整った食卓前に腰を下ろした。
途中、わたしの部屋に寄りこのままでいいと言い張るジャスミンに私服を貸した。
「もっと胸が出てる服ないわけェッ?」
自分の着替えがない彼女の苦情には聞こえないフリをした。
「はあああっ、こっこの料理は最っ高よねぇええ!王宮のまかないなんて滅多に食べられないわよおッ!!」
いつものように酔っ払い口調でサナが魚の煮込みを口に頬張りながら言う。
「サナ、お行儀悪いわよ食事くらい静かに食べなさい」
その隣に座るタラーイェは上品な所作で羊肉を愉しんでいた。
「へいへい、うっさいぬぁあ、タァラはあ~」
「タラーイェよ。略さないで」
床に敷かれた生成り布の上には、魚や羊肉の煮込み料理、天人花の実、西瓜、メロンの切り身が、料理ごとに陶器製の深い大皿に盛られている。
大抵は宴で余った食材を使用し、宮廷料理人が見繕ってくれたものが出される。
飲食店のまかないが隠れた絶品料理であるのと同じく、味はどれも最上級であった。
座長を筆頭に踊り子、楽師たち全員でその周りをぐるりと囲む。
毎食ちょっとした宴会気分だ。
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