第一章・輪廻の種子、麗しの舞姫

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「もォ~!胸出したくらいでェ!!美乳は見せてなんぼよォッ!!処女だから そんなうじうじしてんのヨォ!!」 (処女は関係ないと思う)  この世界で処女は絶滅危惧種並みに珍しい。  16歳を過ぎたら男も女も好きな相手と好きなだけ肉欲を貪る。  強姦と年齢が16に届かない場合は罪に問われるらしいが・・・。 『不倫』という言葉自体も存在せず、愛ある婚姻契約を交わす夫婦は稀有だった。  仲間の言葉を流しながら、黙々と食事を進める。 「あーっねぇねぇ、もうサリム様と、もうヤッた?」  ひとりの踊り子が煮込みをつまみながら話を振る。 「ヤッた、ヤッた!!ちっさい癖に元気よね~!!」 「ほんとォ~!!ワタシ今なにされてんだろうってくらいだったわァ」  ジャスミンはケラケラと答え、食事中に相応しくない会話が飛び交う。  内容を耳と脳内に入れまいと黙々と咀嚼に集中した。  おいしい筈の料理は周囲の会話のせいで全然味が分からなくなっていた。
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