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「でもォ、あれで顔がゲソだったらイヤよねェ~。ヘサーム王の顔見た子いないのォー?」
ジャスミンがケラケラ笑いながら品定めするように言う。
「だってまだ誰もヘサーム王とはヤッてないんでしょ~?」
「大人気だからね~!ダンナの付き添いで来た女とか独身貴族令嬢とか、予約だけで埋まってるらしいわよ」
(予約って、大人気のレストランじゃないんだから!!)
そう心の中でツッコミを入れつつ必死で会話内容から気を逸らそうと努力した。
「あ~、もう隙見て襲うしかないのかしらね!客なら全員ヤッたけどぉ」
「アタシきのうヤッたわよ」
「うそ!!アイーダが一番かと思ってたのに~!」
「早く寝ようと思って昨日は予定のオトコを断って、でも寝付けなくって暇な男を探していたら、貴族女とヤッた後のヘサーム王とばったり遭遇しちゃって。暇なら相手しろって言われてアタシの部屋で」
「やだ、素敵~!ひと晩で何回出来るのかしらっ!」
「ねぇどんな顔?どんな顔??」
(ドコが素敵なのよ~ッッ!!)
そう叫びたい心境だ。
聞かないようにしても無情にも音は耳に入ってきてしまう。
ひとり、ぐったりするアイーダを置いてけぼりにし話はどんどん加速し白熱する。
「超絶美形だったわ!!鮮紅色と青紫色の瞳に烏羽玉色の長い髪、引き締まった筋肉質の小麦色の肌に広い肩と逞しい胸板!!ほっと素敵だったわ!!また今日もヤりたいって言ったら、どんな相手とも一回しかしないって」
ヘサーム王との一夜を夢中で語る踊り子は、がくりと肩を落とした。
「デキたら困るから?」
「避妊具ならバッチリ着けてたわよ、もう、とにかく気持ち良くて死ぬかと思うくらいッ!!キスもうまいし、指使いも激しくて絶妙で、固くて太くてッ!!アタシのイイトコを確実についてきてくれたのよ!!」
(もう、失神しそう・・・)
今口に入れた食物が消化不良で吐き出しそうだ。
(もうこんな世界イヤ!!OLに戻りたいっ!!)
二度と叶わぬ願いを必死に祈っていた。
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