第一章・輪廻の種子、麗しの舞姫

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(ルト、いい人だな。もしかして本当に佐藤くんだったりして)  そんな期待が高まり気付いた時には質問をしていた。 「あ、あのっルトは今の自分になる前のずっとずっと前の記憶とか、あると思うっ?」 「ん?えーと。そうだなぁ、そういうのって僕もあると思うよ。こうしてアイーダと会えたのも何かの縁だと思うし、将来僕の隣に君が居てくれたら」  希望に満ちた響きに初めて胸が高鳴る感覚を得る。 「はあい、すとっぷぅぅぅぅぅ!!アイーダ恋人とイチャつきたいのはわかるわよォ!でも休憩時間終了でぇぇぇすぅ!!」  サナがパッツン切りの黒髪を揺らしながら、ずいっとふたりの間に顔を突き出した。 「ち、ちがっ」 「是非そうなりたいよ」  ルトの爆弾発言に周囲は色めき立ち歓声を上げた。  戸惑いつつも、アイーダは内心まんざらでは無かった。  なんだかくすぐったくて照れくさい。  この世界の住人になって初めて得た春の様な想いだった。
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