第一章・輪廻の種子、麗しの舞姫

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 目が眩む様な煌びやかな装飾、幾何学模様のモザイクが織りなす荘厳な天井。  東洋的(オリエンタル)な香りが立ち込める空間。  奏者たちの音楽に合わせ舞い踊る女性たち。  華やかで穢れきった世界。  その中心でわたしは舞う。  紺青(アル・ラズワルド)の空に光輝く白い月、降り注ぐ満天の星、さらさらとした細粒子の砂が永遠と続く地平線。  その直中(ただなか)に浮かび上がる幻想的な白亜の宮殿。  奇跡の都と呼ばれる、ここシェラカンド王宮の大広間では夜毎、来賓客を持て成す盛大な宴が開かれていた。  来賓客はシェラカンドとの交易交渉で滞在している国賓や公賓、その細君など要人ばかりだ。  円形造りの大広間は多数の飾り燭台と洋燈(ランプ)に照らされ、明るくも怪しい雰囲気が漂っている。
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