お弁当と球技大会

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「あー、久しぶりに勉強したせいで頭がふわふわするよ。テストってほんと嫌だよね」 「テストがなかったら、私たちなにするんだよ」 「漫画を読むことを義務教育課程に盛り込むべきだよ」 田中はあくまで真剣な顔をしている。こいつアホだな。まあアホじゃなきゃ、私の友達にならないか。昇降口から出ようとしたら、見知ったやつらが入り口に立っているのが見えた。ジローと副会長の松田だ。この組み合わせ見るのも久しぶりだな。松田はチラッと私たちを見て、眉を上げた。 「あら、日野さん。今日は彼氏と一緒?」 「ちげーよ、友達だ」 「日野さんみたいな雑な人でも彼氏ができるのね」 人の話聞けよ、眼鏡。っていうか私が雑だなんてどうしてわかるんだよ。あんたと話したのなんて数回だぞ。ジローは何も言わずに私の方を見つめている。なんだよ……じっと見るなよ。背中がむずむずするだろ。私はジローの視線を避けるべく、田中の後ろに隠れた。 ジローがぴくっと肩を揺らす。 「行きましょう、会長」 「ああ、うん」 松田はジローを促して歩いて行った。田中はその様子を眺めながら、のんきな声を出す。 「なんか非の打ち所がないカップルって感じだね」
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