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校則違反とアンラッキー
4月、春空の下を生徒たちが行き交っていた。彼らはみな、一様に決まった格好で校門をくぐっていく。一方私は、敵に挑む気持ちで校門の前に立っていた。
私立南都学園。希望した学校が全て内申で落とされた中で、なんとか滑り込めた一校である。私と同類ばかりなのかと思いきや、通学路や校舎への道を埋める生徒の髪は黒、黒、黒。ついでに制服も黒を基調とした重たい色のものだ。私の髪は、黒ばかりの中で唯一の茶髪。それもかなり明るくて、クリーム色に近い。
校門前には「生徒会役員」と書かれためちゃくちゃダサい腕章をつけた連中が立っている。彼らの手にはボードがあり、生徒たちを呼び止めてはなにかをチェックしていた。いわゆる服装検査ってやつである。──こちとらヤンキーだ。そんなもんにびびってられっか。
私はスカジャンのポケットに手を突っ込み、彼らの脇を通り過ぎようとする。
「ちょっと待って」
声をかけられたので振り向くと、腕章をつけた男子生徒がこちらを見ていた。私は目を細めて彼を見返す。
「なんだよ」
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