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「その髪、脱色じゃない? あと、スカジャンをジャケットがわりに着るのは校則違反だよ」
「うるさいな。私が何を着ようが私の勝手だろ?」
私はそいつを睨みつけた。色素が薄くて、男のくせにやたら綺麗な顔をしている。背は高いが生っ白くて弱そうだ。男の傍にいた眼鏡の女が口を開いた。
「会長、彼女は入学当初からブラックリストに載っている生徒です」
「へえ、そう」
生白い男はそう相槌を打った。会長? こいつ生徒会長なのか。そういえば、こういう男が入学式で挨拶してた気がする。眠くてずっと船を漕いでいたから記憶が定かではないのだ。会長は私に視線を戻して「名前は?」と尋ねてきた。私は舌打ちして彼を睨む。
「人に聞く前に自分が名のれよ、バーカ」
「なっ……会長になんて口をきくの!」
私の言葉に眼鏡の女が鼻白む。私みたいな人種に免疫がないのか、会長は目をまたたいた。しかし、気分を害した様子はなく穏やかな笑みを浮かべてみせる。
「たしかに。僕は真野二郎。生徒会長をやっています。よろしくね」
僕だあ? なよなよしやがって。私はせいぜい皮肉っぽい口調で返した。
「私は日野アスカ。一年C組。よろしくな、会長さま」
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