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衛星オディエルナの環境は過酷だ。気温マイナス195度。大気の組成は二酸化炭素と二酸化硫黄、ベンゼン、微量の酸素である。
服役囚の全身は人工皮膚に覆われ、脳の一部をのぞいて内臓はすべて強化臓器に交換、骨格はチタニウム合金で補強されており、代謝機能は脳に埋め込まれたAIチップが管理していた。
ハイパーウイルスⅢは、囚人たちの代謝機能AIのプログラムを根本から書き換えてしまうとされる。現在のところ有効ワクチンや抗体プログラムがあるという情報はなかった。もし感染すれば囚人たちの従順が反抗に変換され、それは衛星オディエルナの経営部の存亡に関わってくるのだ。
「総員に告ぐ。ハイパーウイルスが確認された。直ちに作業を中止して、隔離棟へ避難せよ。繰り返す。ハイパーウイルスが確認された・・・」
スウェイはさらにいくつかの任務指示をだすと、探索車両を管理棟へ進路変更した。
イース・ノース中佐は、スウェイをこの星へ追放した張本人だった。
スウェイは政治的謀略でここへ送りこまれたのだ。
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