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ささやかなレジスタンス
管理棟からおよそ3キロ離れた特別施設。
通常はメンテナンスや新規発動システムの試験場であり、服役囚たちの安息の場でもあった。彼らはそこで古き良き思い出に浸ったり、遥か遠くから来訪した家族や恋人と面会することができた。
しかし、そのホールは今は完全閉鎖され、パワー充電が遮断された18体のサイボーグ囚人たちが、身じろぎもせず床に横たわっている。
彼らの体温は50度以上あり、内蔵された代謝機能AIはウイルスによって破壊され、多臓器不全を起こしていた。みんな目を閉じ、静かにその時を待っているのだった。
スウェイはモニタごしに彼らを観察しながら傍らの操作パネルに指を走らせた。
ホールの扉が開き、青い遮蔽膜に覆われたストレッチャーカーゴが現れた。スウェイはアームを最低速モードにした。せめてもの想いからだった。ストレッチャーに内蔵されたクレーン式のアームが伸びてきて、横たわるサイボーグたちを順番に、しかし尊厳をもって吊り上げていく。
ゆっくりと、ゆっくりと・・・
彼らは親族や親しい者たちに看取られることもなく、ひっそりと息をひきとっていくのだ。
ストレッチャーで搬送された彼らは破砕され、溶解される。遺品もすべて。それが経営部の方針であり、逆らうことはできない。
残るのは彼らが生きていたときの記録だけである。
「立ち会うのは辛いものね。これだけは慣れることができないわ」
いつのまにか、セネア・ガーネットがスウェイのそばに立っていた。
スウェイは頷いた。
「彼らは暴動を起こして懲罰対象になったわけでもない。そもそもハイパーウイルスは、地球だけで封じ込めるはずじゃなかったのか。それを経営部の業績優先政策のせいで、出るはずのない場所で犠牲者が出てしまった」
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