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相原先輩は、中学の時から憧れの先輩だった。優しくて頭がよくて、弓を引く凛々しい姿が素敵だった。でも告白はできなかった。だって、相原先輩がモテるって知っていたから。弓道部内でも先輩に告白して振られている子は何人かいた。でも、私は何も行動を起こさなかった。後輩のままでいれば傷つかないと知っていたから。私が何もできないでいるうちに、白石ユカは先輩の心を射止めた。
「とにかく、しばらく休んでみたらどうかな。また、気が変わるかもしれないし」
先輩は優しくそう言った。先輩に辞めるなって言ってほしくて、私は彼に相談したんだ。
自分でもわかっているのに。このまま弓道部にい続けても、相原先輩の心もエースの座も手に入らないって。
私は一礼して、弓道場をあとにした。
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