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私の言葉に、友理子だけでなく両親もぎょっとした。6年間続けてきたのにもったいない、とみんなは言った。とにかくもう決めたのだと答えて、私は席を立った。友理子が心配そうな顔でこちらを見ている。明日、退部届を出そう。それでもう、私の弓道人生はおしまいなんだ。
「はあ? 部をやめる!?」
2年1組の教室。同じ弓道部のリコが、素っ頓狂な声を出した。私は飲んでいたブドウのパックジュースを机の上に置く。
「うん、そのつもり」
「ちょっと待ってよっ。次期部長のあんたがやめたら、誰が弓道部を引っ張ってくのよ!」
「白石さんがなるわよ」
「そしたら消去法的に私が副部長じゃん! あの女の言いなりになるなんていやーッ!」
リコは頭を抱えて叫んだ。ちゃんとわかってる。リコは私のことを思ってそう言ってるんだってこと。中学から友人のリコは、私の気持ちを知っている。私が、相原先輩を好きだってことを。
「とにかくやめるなんてナシ! 新入生の呼び込みあるんだから来なさいよ!」
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