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胸くそ悪くなるような欺瞞と薄っぺらく汚ならしい性欲、そんなものと引き換えに得ることのできる鷹衛の姿は、ほんの一分にも満たない時間しか堪能できない。 あっという間に、その姿はテイクアウトのコーヒーを手に店を出て行ってしまう。 久我は小さくため息を落とした。 鷹衛のレジ精算を済ませた茶髪の店員が、久我の座る席の近くのテーブルを片付けに戻ってきて、そんな彼を何か言いたげにじっと見つめる。 何も言われたくなくて、卑怯で卑劣な自身の欲望と罪を第三者に暴かれたくなくて、久我は、唐突に手を伸ばした。店員の手をそっと握る。 「今日、何時に終わる?」 彼はサッと頬を染め、おそらく言おうとしていた何かを一瞬で引っ込め、八時までです、と俯きがちに呟いた。 「なら、終わるまで待ってる。何か軽く食べるもの頼んでいいか?」 それがどれだけ嘘臭くあまりにも中身のない関係でも。その店員が誘いを断らないのなら、彼にとっても某かのメリットはあるのだろう、と久我は自身に都合のいい解釈をする。 はにかんだような笑みを浮かべた店員は、お腹にたまりそうなものはホットサンドぐらいしかありませんが、と断ってから注文を厨房に伝えるためにホールを足早に去って行った。
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