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セナ
*****
君がガラクタになった日、博士と名乗る人が来た。……博士の話を信じるなら、彼もロボットなのか。
全部を聞いて、ロボットになってから初めて涙が出た。
胸が苦しくなった。
でもね。謝るのは僕もなんだ。
僕が昔人間だったこと、実は知ってた。
思い出したんだ。
でも君が下手くそな笑顔で隠そうとするから、僕はただのロボットになった。
君と一緒にいられて、僕は愛を知った。
確かに君のしたことは勝手だし、自己満足だし、僕の意見なんてまるで無かった。
でも確かに愛だったんだ。
君が消えたと知った日、同時に君の愛も知った。
とても悲しかったけど、それと同じくらい君の愛を感じて、世界がほんの少しだけ暖かく感じたんだ。
「君が消えた日、世界はいつもより暖かかった。」
そう言った僕の言葉に、博士も泣いていた。
*****
fin.
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