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クラス1目立たない僕
放課後。
僕以外のクラス全員の男子が、鈴川に玉砕した。そのため、目立たない僕にもお鉢が回ってきたのだ。
周囲の視線を感じながら、僕は鈴川に近付いた。
鈴川は帰りの支度をしている。
「鈴川さん、僕とペアを組みませんか?」
「どうして、私を選んだの? 理由を聞かせてちょうだい」
「鈴川さんの出席番号は25番です。僕の出席番号は5番です」
「それが?」
「僕の出席番号の二乗が鈴川さんの出席番号です」
5×5=25 と言う訳だ。
「あら、本当ね」
「でしょう?」
鈴川は数学が好きで特に二乗した数が好きなのだ。そのため、僕の説明を聞くと、目をキラキラと輝かせた。
そして、他の人にもしたように、僕にも要求をした。
「それでは、私を主人公にした小説を書いてちょうだい」
「お安いご用です。来週には用意しますよ」
鈴川は僕が二つ返事で引き受けたことに驚いて目を丸くしている。
驚かれるのも、無理はない。なぜなら、僕は国語の成績が悪く、文才が無いためである。
しかし、すぐに表情を戻すと、承諾してくれた。
「面白いわね、あなた。……いいわ、あなたと組みましょう」
遠巻きに僕らを見ていたクラスメートは驚き、何故お前なんだ、そんな理由でいいのかよ、と恨めし気な視線を向けていた。
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