マドンナ

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マドンナ

 うちのクラスには、所謂、『マドンナ』がいる。  名前は、鈴川(すずかわ)(れい)。家がさんということもあって、周囲からは『かぐや姫』と呼ばれている。  漆黒(しっこく)の髪、雪のように真っ白な肌。  そして、容姿だけでなく、本人の振る舞いからも『かぐや姫』というあだ名がしっくりくるのだ。と言うのも、鈴川は簡単に男子に心を開かない。  しかし、そんな彼女には最悪の時期がやって来た。  それは体育祭期間だ。  体育祭では、好きな者同士が男女ペアを作り、一緒にダンスを踊る。  それで、クラス中の男子が鈴川と組みたがったのだ。  そこで開かれたのは『かぐや姫争奪戦』。  休み時間になると、鈴川と組みたい男子が我先にと誘いにかかった。  勿論、早く誘える程、他の男子に取られる危険性は低い。しかし、鈴川はそんな生易しい女子では無いのであった。
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