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「なんとでも言え。お前が出すまでこのままだからな。」 「・・・っ・・・!」  絶対に今目白さんは意地悪な表情をしている。ニヒルな笑みを浮かべながら楽しんでいるに違いない。見なくても分かってしまう自分がなんだか悲しかった。俺はどうしてこんな事を想像できるほど目白さんにいじめられなければならないのか。俺が一体なにをしたというのか。謎である。  目白さんはどれだけ俺をいじめれば気が済んで、満足してくれるのだろう。 「鬼!馬鹿馬鹿っ!ドS!!」  涙声になって目白さんをなじる。しかしそんなもの目白さんを楽しませるだけなのだ。 「早くしねぇと誰かくるかもな。」  そう耳元で囁かれ、ビクリと肩が跳ねた。  こんな状態のなか出したくない、でも出せば解放される、でも目白さんに見られながらなんて恥ずかしい、でも早くしないと誰かくるかもしれない、色々な考えが頭を駆け巡る。 「・・・っ・・・も、やだっ・・・、」  恥ずかしい、恥ずかしくて死にそうだ、とすんと鼻を鳴らす。  実のところ尿意も限界だった。  それもそのはずである。排尿したくてトイレにきたというのに目白さんに会ってしまったせいでかれこれ10分以上は我慢しているのだ。 「俺っ・・・俺、・・・むりっ・・・、」  目白さんの手で俺自身を補助され、見られながら排尿なんて俺にはできない。普通の感覚を持った人間ならばできないはずだ。  ぽろぽろと涙を流せば目白さんの熱い吐息が耳にかかる。 「できるよ。我慢もそろそろ限界だろ?」  悪魔の囁きのような言葉を目白さんは吐いた。耳にかかる息にくすぐったさを感じながらぞくぞくと鳥肌がたつ。  俺は恥ずかしさと情けなさにまた涙を零した。 「・・・っ・・・むり・・・でちゃっ・・・、」
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