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「そりゃー・・・、な。気づいてるよ。」  なんとも歯切れの悪い。気づいているなら尚更飲み会などに行って欲しくないと思うのは我が儘だろうか。 「告白されたわけでもないし、難しいんだよなぁ。2人きりで誘われたんなら断りやすいんだけど。大人数位だったら別にいいかなってなるだろ。」  確かにそれも一理ある。しかし坂口さんは肉食系女子なのだ。大丈夫だとは思いつつも酒の席、何が起こるかわからない。  そう、あの合コンの日のように。俺は酔っ払って目白さんに持ち帰られてしまったのだ。  もしかしたら肉食な坂口さんに酔わされて、目白さんもお持ち帰りされてしまうかもしれない。 「目白さんだって大人数で飲んでてもホテルにお持ち帰りしてえっちなことしたじゃないですか。もしかしたら目白さんも酔っ払ってお持ち帰りされるかもしれないです!」 「お、お前なぁ!さては根に持ってるな!」 「当たり前じゃないですか!」  あの日俺がどれだけ怖かったのか目白さんには想像できまい。目白さんに恐怖を刻み込まれたのだ。根に持つなと言う方が無理である。  結局のところ、目白さんのことを好きになってしまい、付き合うことになったのだから結果オーライなのかもしれないが。 「俺は酒強いからお前と違ってヘマすることねぇもん。」 「お、俺だっていつもは大丈夫です!」 「ほんとかよ。俺にあっさりお持ち帰りされたくせに。」  酔わせたのはどこのどいつだと問いただしたい。甘いお酒で惑わすなんて狡猾すぎる。  まぁ、問いただしたところで今更ではあるのだが。 「い、いつもそーやってお持ち帰りしてるんでしょ!手慣れてましたもんね!」  度数の強いお酒を飲ませて、持ち帰るその手腕は見事だった。俺はまんまと乗せられて持ち帰られてしまったのだ。こんな手慣れた犯行が初犯なわけがない。  苦し紛れにそう言えば目白さんは少し焦ったように阿呆かと返した。
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