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「は、話が逸れましたけどとにかくお持ち帰りしないし、されないでって話です!」
こほんと咳払いをして、逸れた話を本題に戻す。そうすれば目白さんは先ほどまでの表情とは打って変わってニヤリと笑みをこぼした。
「俺がお持ち帰りするのは松尾だけだから安心しろって。」
「・・・っ・・・!」
目白さんのその言い方では、まるで俺がやきもちを妬いているみたいではないか。
否、実際そうなのだが。俺はもてる目白さんが心配なのだ。
(・・・なんか俺めっちゃ目白さんのこと好きみたいじゃん。)
モテる恋人を持つとこんなにも心がざわつくものなのか。複雑な気分だ。
唇を尖らせながら1人もんもんとする。そんな俺を知ってか知らずか目白さんは気にせず問いかけた。
「松尾も飲み会くんの?」
「えっと、・・・一応、」
飲み会にはあまり行きたくないが見張り目的である。
目白さんの問いに一応参加するつもりだと答えれば目白さんはニヤリと笑った。
「珍しいな。飲み会くるの。」
「た、たまには良いかなって。」
なんて嘘である。今までいくら誘われても同僚との飲み会なんて、全員参加必須以外参加しなかった。今回が特別なのだ。
たぶんそれに気づいているであろう目白さんは面白そうに目を細める。
そしていつも唐突な事を言い出すのだ。
「じゃあさ、お前が俺のことお持ち帰りすればいいじゃん。」
「え!?」
予想外の言葉に思わず声を荒らげる。やっぱり目白さんは突拍子もないことを突然言い出すのだ。
俺が目白さんをお持ち帰り、とは一体どういうことだろうか。
怪訝な表情で目白さんを見つめた。
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