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「俺は遠慮しとくよ・・・、」 「え!お願いお願い!」  不安な要素を考えるとキリがない。ならば行かないに越したことはないのである。わざわざ合コンにいってまでリスクを冒すことはないのだ。  そんな俺の考えを知らない小林はなおも期待をこめた目で俺を見つめている。 (せめて前もって分かっていたら普通のボクサーパンツ履いてきたのに・・・。今日は苺柄だぞ!?)  今日の俺は苺ブラに苺パンツだ。こんなものがばれでもしたら変態扱いされ、社会的死まったなしである。それだけはなんとしても避けたい。 「やっぱ俺無理・・・。」  そう言った瞬間小林ががっくりと項垂れた。 「やっぱそーだよなあー・・・。俺今日の合コンに狙ってる子がいてさ・・・。このままじゃ中止するしかねぇんだよぉ・・・。どうしても駄目?」  小林は俺の両手を掴みうるうると瞳を潤ませる。情に訴えかける作戦だろうか。正直少しも可愛くはないが仲の良い同期の頼みに心が少し揺れた。 「ほ・・・他の人あたってみたのか?」 「他のイケメンはみんな彼女いるんだよ。」 「彼女いなくて悪かったな。」  ね、お願い!、と小林が俺の両手を持ったまま期待を込めた目で見つめてくる。いつもはこんなにしつこくない小林の頼み、たまには聞いてやるかと俺は溜め息を吐いた。 「しょーがねぇなー・・・。今回だけだぞ。」 「ありがとう!お前ならオッケーしてくれるって信じてたぞ!」  調子の良い小林は一瞬で表情を変え大袈裟に喜んでみせる。そんなにこの合コンに行きたかったのか。 「ちなみに男のメンバーは幹事の俺とお前と俺の友達と目白さんだから!」 「え!目白さん!?」
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