883人が本棚に入れています
本棚に追加
「松尾こっちこっちー!」
そう手を振り俺を呼ぶのは小林だ。時刻は19時45分。合コン会場へと向かうべく男メンツだけで待ち合わせをしていた。
「今日は本当ありがとな!」
そう笑う小林の隣には男が1人。知らない顔なのでおそらく小林の友人だろう。
「松尾です。」
「岡です。」
イケメンを集めた、と言っていた通り今風のイケメンだ。話しやすそうな雰囲気にほっとする。
お互い挨拶を済ませているとおまたせ、と後ろから声が聞こえた。思わず振り返るとそこにはやはりというべきか目白さんの姿があった。
「目白です。よろしく。」
そう爽やかに笑う目白さんは男前そのものである。営業マンらしくピシッとしたスーツを見に纏い、黒い髪をソフトオールバックにしているその姿を見て男前だと言わない人はおそらくいないだろう。
小林の友人が岡です、と自己紹介をしそれにならって俺も自己紹介をした。松尾です、と名乗れば目白さんが知ってると目を細める。
「同じ会社だろ?今日はよろしくな。」
「えっ・・・、」
まさか自分のことを知っているとは思わなかった。予想外のことに、ついドキリと心臓が鳴る。どうして目白さんは俺のことを知っているのだろうか。疑問が浮かぶが聞く勇気もなく押し黙る。
そんな俺を知ってか知らずか小林が声をかけた。
「じゃあ男メンツ集まったんで行きましょう。」
俺は不安を抱えながらも自分に大丈夫だ、と言い聞かせる。いい歳して人見知りしている場合ではない。
小林の言葉を合図に俺たちは合コン会場へ向かうのだった。
最初のコメントを投稿しよう!