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プロローグ
フリルやレース、リボンに花柄にハート柄。俺、松尾優成(まつお ゆうせい)24歳は小さい頃より姉3人の影響を受け、いつの間にか可愛いものが大好きだった。
幼少時代の俺は天使のように可愛いともてはやされ、姉3人からは着せ替え人形のごとく女装させられていた。それが嫌だった、なんてことは別になくむしろ喜んで女装していたのである。可愛い自分には可愛いものが似合うと思っていたしなによりも可愛いものが大好きだった。
しかし俺は男。小さくて可愛かった俺も成長期を迎えて誰がどう見ても男と答えるであろう見た目に成長してしまったのだった。背の順では1番前だった小学生時代。それが嘘かのように伸びてしまった身長。高校生では1番後ろから数えた方が早くなるほど高く伸びてしまったのである。
そうして俺は悟った。俺にはもう可愛いものは似合わない、と...。
しかし見た目が変わったからといって好みが変わるはずもなく、成人し社会人になった今も可愛いもの好きは健在なのである。一人暮らしの部屋はピンクとフリルで溢れているし今でも女の子の洋服は大好きだ。しかしもう女装はできない。なにより可愛くない自分には似合わないからしたくなかった。女装なんかして道を歩けば確実に通報されるだろう。
そんな俺が誰にも迷惑をかけずに、自分の1日のモチベーションを上げられて身に付けられるものを見つけたのだ。
そう、それは下着。俺の密かな趣味はメンズ用ランジェリーのコレクションと着用なのだ。
俺の1日は朝のニュース番組の一コマ、占いから始まる。
「おうし座の貴方。ラッキーカラーは赤と白!突然の出会いに注意してください!」
アナウンサーの声を聞きながらラッキーカラーに合わせたブラとショーツを選ぶのだ。それが俺にとってなによりも楽しみな時間だし至福の時間なのである。
(赤と白かー・・・。今日は苺柄で決まりだな。)
下着にはフリルやレース、リボンに花柄にハート柄、可愛いがたくさん詰まっている。
誰にも言えない内緒の俺だけのささやかな楽しみなのである。
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