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「いいの…?」
玄関の扉に鍵をしっかりかけてから私は京太郎の背に向かって聞いた。
「何が?」
「だって尾崎先生にご飯誘われたじゃん!…なんで断わったの?」
すると、京太郎はくるりとこちらを見て、当たり前なことを言うように、
「すずが準備してくれて、俺もすずとすずの作ったご飯食べたくて。ただそれだけなんだけど」
ところで夕食、何~?おなかすいた!小学生のように元気に呑気に聞いてくる京太郎。小説に向き合う時と大違いだ。なにそれ。すっごい心配したじゃん!自分の行動が京太郎の為になってるか真剣に悩んじゃったじゃん!その後、すぐプラス思考に変えたけど、でもでも…やっぱり頭の隅で心配で仕方なかったんだ。
「ねー、すず?」
京太郎が私が無言なのに不思議そうな顔している。
「オムライス…」
ぼそっとだけ答えてみると京太郎は嬉しそうに笑った。
「オムライス大好きだ!あ、でも卵の部分、しっかり火通してね!」
私は半熟の方が好きなんだけどな。まあ京太郎の場合、美味しさよりまず衛生面に目が行っちゃうからしょうがないんだけど。でも京太郎の笑顔ってすごいな。なんか許してあげちゃいたくなる笑顔。私も欲しい。
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