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お願いします!と深く頭を下げる。そして顔を上げると、従業員の男性は、うーんと唸り、私のほうを…なんていうかじろじろと上から下まで見て、
「君、一応確認だけど、成人してる?ちょっと幼く見えてさ」
うう。私、どこいっても成人してるように見えないのね。前の仕事で頑張った週末に一本のお酒を買うのが楽しみだったのに、毎回店員さんに不審がられてたもんな…。そりゃ、ここでもそうなるよね。私は財布から免許証を取り出し見せると、その従業員の男性は良し!と大きく頷いた。
「え、あの…」
うん、何が良し!なのか教えてほしい。だってあなたは雇われスタッフでしょう?こんな20代後半、もしかしたら私と同じ年ぐらいの人がここのオーナーってことはないだろうし…。
「あ、失礼。実は私、君と同じで童顔でさ。年齢は実は32歳。ここの業界もそこそこやってて、この店のオーナーをさせていただいています」
はい、名刺!と渡され、私は名刺と目の前の男性を見比べる。いつも私は成人しても成人に見てもらえなくて、人を見た目で決めるなー!と心の中で叫んでいたけど私の気持ちを分かってくれる人がここにいるとは!私は妙な運命を感じてしまった。
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