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「ねえ、君さ。この子、雇ってる場合じゃないんじゃない?明日さ、君の店にお巡りさん来るみたいだよ」
「ええ!!!?」
静かな月夜のように凛とした声がして私と素っ頓狂な声をあげたオーナーが振り返ると、その声の持ち主にふさわしい青年がすぐ後ろに立っていた。
「何かの冗談だろ?!!」
オーナーはさっきの優しそうな雰囲気を殴り捨て青年の襟首をつかむ。青年はそのオーナーの手首を掴み、
「さあ?まあ君がやましいことしてなきゃ、いい話でしょ。来ても堂々とすればいいし」
そして勢いよくオーナーの手首をぎりりと変な方向に捻ろうとした。
「それは駄目、それは駄目!!」
私がその青年のほうに寄り、慌てて止めに入ろうとすると、あっさりとオーナーの手首を離した。オーナーは離された瞬間、パッと青年と距離を開け、痛む手首を抑えている。
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