純白

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その子は珍しく個室だった。 肌は白く、全体的に色素が薄い印象を受けた。 しかし、側には似つかわしくないぐらい大きな機器に繋がっていた。 見るからに重病なのが分かった。 そして、個室なのは機器が大部屋では置けないからだろう。 痛々しそうに思った。 いけない。 専門学校で言われたことを思い出した。 「子供は大人に比べて敏感です。特に大人の表情や行動を見ています。それは、自分を守るためだとデータが出ています……」 後の話は忘れてしまったが表情にはださないように笑顔を保った。 優しく「血圧を測るね」と伝えた。 その子は声は出さなかったが頷いてはくれた。 腕がとても細かったのを今でも思い出す。 病室にドアを閉め、その子以外にも入院している子たちの朝の血圧の測定に向かった。 そこには朝から元気な子たちが騒いでいた。 朝から元気だなと思う反面、きちんと血圧が測れるか心配になった。
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