女子の闘争、男子の逃走

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冷たさを帯びた秋風が吹き、この季節特有の赤やオレンジに染まった色とりどりの木の葉がふわりと舞い躍る。 暖かな陽気と相まって心地いい温度がここ白帝学園を包み込む。暑すぎず寒すぎず、実に過ごしやすい時季である。 ぽかぽか陽気にひんやり風で日向ぼっこでもしてたら眠気を誘われるんじゃないかなぁと思うが、今の俺にそんな余裕などない。 「はぁ……はぁ……っ」 走る。 ひたすら走る。 すれ違う生徒の誰もが「何してんだあいつ?」と疑問符を浮かべながらもぶつからないよう脇に逸れて傍観している中、俺はただひたすらに走った。 そう、全てはあの怪物から逃げるため。 絶対に関わってはいけないそいつから、逃げるため。 「柳!無事か!?」 突如階段から躍り出た男子生徒が俺を見つけるや否や叫ぶ。走る速度を緩めることなく今のとこは大丈夫だと伝えた。 「奴は今普通科校舎の2階にいる!多少は時間稼ぎできるぞ!」 「よし、図書館兼遊園地に行くぞ!あそこならアトラクションを壁にして更に時間が稼げる!俺達に残された選択肢はそれしかない!」 「他のやつにも言っとく!」 「纏まって動くと捕まりやすいから、皆バラけて行くように!1人捕まったら全員捕まると思え!」 肩を並べて並走しながら互いに情報提供し現状を把握する。この男子生徒は俺と女子との出会いを悉く邪魔してくれやがる輩の1人なのだが、今はそんな些末事に気を取られている場合ではない。俺達はこの件に関しては協力者なのだ。 今俺達ががむしゃらに走り続けているのは霊能科校舎一階の廊下。俺も隣を走る男子生徒も普通科に所属しているが、その普通科校舎には怪物が跋扈しているためUターンなんぞ許されない。 授業中だったなら少し躊躇ったかもしれないが今の時間は昼休み。心置きなく逃亡できるというものだ。そろそろ予鈴鳴るからもうすぐ終わるけどね!狙われている俺達は昼飯を食べ損ねてしまった。空腹に苛まれながらも必死こいて逃げ惑う俺達はなんて滑稽だろう。
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