雨宮サユリ

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馬鹿なお願いをしたと少し後悔した矢先、電話口から返答がきた。 『見知らぬ人の所にはやっぱり……』 ダメか、と少し俯いた瞬間だった。 後ろから伸びてきた腕に、勢いよく携帯を奪われる。 びっくりして振り返ると、怒りの表情のシズクがそこにいた。 会話とサユリの表情で察したのか、怒鳴るように話し始める。 「嫌なの!!今は帰りたくない!!お母さんはいつだって私の言う事聞いてくれなかったじゃない!!それなら私だって言う事聞かないんだから!!」 言うだけ言って、強制的に通話を切った。 息切れしながら携帯を握りしめるシズクを見て、これが反抗期かと少し気圧される。 だがその顔は、涙ぐんで悲しげだった。 「ごめん……」 「いえ、サユリさんは悪くないです。やっぱり、ご迷惑おかけしそうなので帰ります」 「あぁ!待って待って!大丈夫だから!」 帰り支度を始めようとするシズクを止めるのに、この後数十分かかった。 だがいろいろ話してみてサユリは、相当溝が深そうだなと少しだけ覚悟した。
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