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数日後、あの日の翌日にシズクの母から連絡があり、サユリが暫くシズクを預かる事になった。
友人の家の方が安全だと提案はしたのだが、彼女自身仲の良い友達が少なかったのでその提案は却下された。
幸いサユリもよく友人を泊める事はしていたので、一定期間誰かを泊める事は馴れている。
「帰りたいと思った時に帰ればいいんだから、アタシの事は気にしないで」
そう言って貰えた事が嬉しかったのか、その日からシズクがご飯を作るようになった。
学校もこの家から近かったのも、何だか運がいいなと笑って喜んでいた。
少しずつ笑顔が戻りつつあるのだが、親の話や家出の詳細までは訊けずにいる。
まだ踏みこむべきではない、自分の傷心もまだ癒えてないのだから、シズクの傷ついた心もまだ癒えていないだろう。
そんな心境で、2人で朝食を取っていた。
「そういえばサユリさん、今日雨降るみたいなんで傘持って行ってください」
「シズクちゃん本当しっかりしてる。私なんかシズクちゃんの年頃、勉強なんかせず遊んでたもん」
「もうすぐ受験シーズンなので、流石に今の時期は勉強しないと……」
部屋の真ん中で囲む小さな食卓は、暫く味わえていなかった充実感を感じていた。
最後に彼をこの部屋に入れたのは、何週間前だっけ?
今更思い出したくない事が疑問で頭をいっぱいにする中、シズクはその食卓の机の下にある物を発見する。
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