4人の出会い

2/7
前へ
/15ページ
次へ
しっかりした足取りでスペースに転がり込んできたのは、セーラー服を着た女子高生だった。 スカートは丈もきっちりしていて、真面目そうな雰囲気のする少女に、最初の女性は思わず声をかける。 「あのー……」 少女は先客に気付いていなかったのか、肩をビクつかせて、だが声を上げずに驚く。 だが濡れた服を見たのか、警戒は一瞬で解けた。 「ごめんなさい、居ることに気付かなくて」 「いいのよ。お姉さんも雨宿りしてただけだから」 「それなら良かったです。えっと……」 急に首を傾げたかと思うと、女性は声をかけた事を思い出す。 「あぁ、ごめんね。アタシ、雨宮(あまみや)サユリっていうの。ちょっと迷子になっちゃったみたいで……」 「私は、加瀬(かせ)シズクと言います。ここは都心から少し離れた美夜尾(みやお)町ですけど……」 サユリは、やっちゃったという表情を浮かべ思わず固まった。 明らかに、地元の町から外れてしまっている。 何なら、自宅を大きく通り過ごしている。 歩くとすれば1駅分は歩かなければいけない事に気付き、呻きながら思わず項垂(うなだ)れた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加