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しっかりした足取りでスペースに転がり込んできたのは、セーラー服を着た女子高生だった。
スカートは丈もきっちりしていて、真面目そうな雰囲気のする少女に、最初の女性は思わず声をかける。
「あのー……」
少女は先客に気付いていなかったのか、肩をビクつかせて、だが声を上げずに驚く。
だが濡れた服を見たのか、警戒は一瞬で解けた。
「ごめんなさい、居ることに気付かなくて」
「いいのよ。お姉さんも雨宿りしてただけだから」
「それなら良かったです。えっと……」
急に首を傾げたかと思うと、女性は声をかけた事を思い出す。
「あぁ、ごめんね。アタシ、雨宮サユリっていうの。ちょっと迷子になっちゃったみたいで……」
「私は、加瀬シズクと言います。ここは都心から少し離れた美夜尾町ですけど……」
サユリは、やっちゃったという表情を浮かべ思わず固まった。
明らかに、地元の町から外れてしまっている。
何なら、自宅を大きく通り過ごしている。
歩くとすれば1駅分は歩かなければいけない事に気付き、呻きながら思わず項垂れた。
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