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シズクは水を含んだスカートを絞りながらひと息つくと、バシャバシャと大きな水溜りを踏む音が聞こえて来る。
このスペースに近付いているのがわかった瞬間、その音の主が姿を現した。
「あれっ?先客居たのか」
顔を出したのは、少し身長の高い男だった。
帽子を被り、半袖のシャツを着た少しラフな格好をしている。
女子2人に気まずくなったのかその場を離れようとしたが、サユリに裾を掴まれそれを阻まれた。
だがサユリは無意識に腕を伸ばしていた為、何故裾を掴んだのか分からなかった。
「えっと……」
「いや、俺はそのまま濡れて帰るよ」
「別に私達は気にしないから、雨宿りしたらどうです?」
言葉に迷っていたサユリに変わり、シズクが男を引き止める。
男は申し訳なさそうに、だが少し嬉しそうにその場にとどまった。
「良かった、このまま濡れて帰るのも嫌だったし、お言葉に甘えて居させてもらうよ」
帽子を脱いで軽くお辞儀をした男の姿に、サユリは思わず目を奪われた。
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