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暫く経った後、また遠くの方で足音が聞こえる。
顔を見せたのは、眼鏡をかけた青年だった。
「す、すみません!誰かいるとは思わず……」
「大丈夫ですよ!アタシ含めてみんな雨宿りなんで」
「4人は多くないですか?」
「ここスペース広いので大丈夫ですよ」
眼鏡の青年は、頭を何度も下げつつスペースにお邪魔する。
言われてみれば4人もここに集まるのは不思議でしょうがなく、不意にサユリに笑みが溢れた。
さっきまで泣いていた事なんて、少し忘れかけていた。
「僕、この近くに住んでるのでお邪魔ならこのままダッシュで帰りますよ?」
「遠慮すんな!ついさっき来た俺が言うことでも無いけどな!五月雨ヒロアキっていうんだ。お前は?」
「あっ、武藤ユウと言います」
「雨宮サユリです」
「か、加瀬シズクです!!」
さっきまで黙っていたシズクが、ユウの方を見て震えていた。
サユリはその姿を見て、忘れかけていたあの頃を思い出す。
元カレに片想いだったあの頃、震えて喋る事もままならなかった。
今のシズクが、あの時の姿と重なって見える。
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