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4人の出会い
大雨の中1人歩く女性は、傘をさしていなかった。
閑静な住宅街、人通りは少なく彼女に声をかける者もいない。
それが有り難かった。
突然の彼氏からの別れ話、耐えきれずそのまま逃げ出して来た今。
悲しい、ただその感情に溺れていた。
ふらつく足取りの中、見つけたのは公園だった。
そこでようやく、あまり来たことのない場所に辿り着いた事に気付く。
「どこ、だろう」
雨脚が強くなる。
流石に雨の強さに耐えられず、公園で屋根がある休憩スペースへと転がり込んだ。
仕事が終わってから真っ直ぐ帰ろうとした時の悲報で、雨が強まっている事も帰り道を間違えているのも気付けなかった。
少し雨宿りしよう、そう思った今は既に夕日が沈みかけている。
そして完全に陽が沈んでもまだ、雨が止む事がなかった。
「全然止まないじゃん……」
びしょ濡れになった服で今更濡れるのを躊躇う訳では無いのだが、土砂降りだと流石に気が引ける。
スマホを取り出して地図で現在地を調べていると、雨の音に混じって走る音が聞こえた。
その音は紛れも無く人が走る音で、明らかに近付いてきている。
闇に包まれている中、その音の主の輪郭がぼんやりと見え始めた。
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